わたし八十二歳、雄ネコのキチ十五歳。
おたがい手の内は知りつくした仲です。夏のあいだは涼しい場所を選んで寝ていたキチが、少し寒くなるとコトンコトンと二階の階段をあがってきて、ふとんに潜り込みます。
木枯らしの音を聞きながら、おばあさんとネコがぬくぬく寝ているのは幸せだなーと思います。面白いことに、わたしが寝返りを打つとキチも必ず寝返りを打つのです。つまり、おたがいの背骨と背骨をくっつけあって眠るのです。
朝がきて、顔を洗って、キチの目に目薬をさして、美味しい朝ごはんをいただきます。そして私は掃除と洗濯、キチは庭に入ってきた野良ネコをウウーッ、フンギャーといって追い払い、ときには取っ組み合いのケンカをして、名誉の負傷をして、リュックサック型のネコバッグに入れられ、わたしが背負ってペット病院へ、やはり背中あわせで出かけております。
(三浦)
