#にゃんこ物語

1番の猫

その禅寺は「道場」といって、若い雲水さんたちが二年、三年、五年という期間、きびしい修行をするところなのです。雲水さんたちをきびしく鍛えるのは「老師ろうし」と呼ばれる住職です。

老師はミミちゃんという名前の三毛猫を飼っていて、弟子にはきびしいけれどミミちゃんには大甘おおあまです。だから、朝四時半頃、起きて掃除してお経をあげて朝ご飯たべて、座禅して、と超忙しい雲水さんたちが、ミミちゃんに気づかないで押入れのフスマを閉め、中でニャーニャー鳴いていたりすると、老師からこっぴどく叱られてしまうのだそうです。

ミミちゃんは、えらそうにしています。なぜかというと、雲水さんたちよりずっと前からこのお寺にいるからです。で、座禅堂でみんなが座禅を組むとき、ミミちゃんもついていって、1 番の席に座るのだそうです。なぜ、1 番から古い順になっているということが猫にわかるのか、不思議ーッ、と雲水さんたちは言っています。

(KIMI)