#にゃんこ物語

忠ネコ おかゆくん

私たちが住んでいる小さな温泉町に、一部屋だけの学習塾があって、20 代のお兄ちゃんが子どもたちにお勉強を教えています。

お兄ちゃんは学習塾の稼ぎだけでは食べていけないので、町の共同温泉の掃除係もやっているのです。
夕方、子どもたちが帰ったあと、お兄ちゃんが共同温泉に出かけると、ネコのおかゆくんが必ず一緒についていきます。白い色に少しだけ薄茶が入った毛並みから「おかゆ」と名づけたらしいのです。お兄ちゃんが温泉のお掃除を終えて一風呂あびて出てくるまで、毎日おかゆくんは入口の石垣の上に座ってじっと待っています。町の人たちが「おかゆくん、お兄ちゃんを待ってるんだね」と声をかけても、ふりむかないで、ひたすら待ちつづけます。

そしてお兄ちゃんが出てくると、長いシッポをピンと立てて嬉しそうに一緒に帰って行くのです。忠ネコおかゆくんは、うちの町の風物詩ですね。

(河野)

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