#にゃんこ物語

マンションの闘い

五階建てのマンションの、最上階の五階で私と猫のクリは暮らしています。

ときどきノラの黒猫がやってきて、エサを食べたり、クリと遊んだりして帰っていきます。クリは去勢したオス猫ですが、その黒猫とは相性がよいらしく、仲良しなのです。

そんなある日、開いていたドアから白猫が飛び込んできました。四階に住んでいる人の飼い猫で、いつもうちのクリを襲って噛んだり引っかいたりして傷を負わせる、私に言わせれば暴力団なのです。ところが、その日はノラの黒猫がきていましたから、あッと叫ぶ間もなく白と黒とが弾丸のようにぶつかり、激しく転げてもつれあううちに、シロ猫がギャッと悲鳴を上げて四階へ逃げ帰りました。あとには噛まれて抜けた白い毛がいっぱい空中を舞っていました。さすがノラ猫の戦闘力はすばらしく、黒は何事もなかったかのような、すずしい顔をしていました。

あー、すっとした、長年のクリの敵が打てたわ、と私は冷蔵庫にあった鶏のササミをゆでて、黒にお礼のご馳走をしたのでした。それにしても、うちのクリときたら、男同士のはげしい闘いを怖そうに見ていただけなんて、情けなーい。

(木村れい子)