私は小さな建築事務所で事務の仕事をしているのですが、そこには洋猫のマンクスの血が入っているに違いない真っ白で大きくて毛がごわごわしたホクト君という猫が飼われています。
ホクト君はもう 10 歳くらいで、私たち社員にも愛想よく接してくれます。
ある日、仕事をしていると応接間の方で建築士の先生がお客様に「ぼくもこの事務所をいつ閉じるかわかりませんので」と話すのが聞こえました。
えーっ、ここが閉じたら私どうしよう、とパソコンに両手を置いたまま落ち込んでいたら、左手に手がのせられました。
「え?」と我に返るとホクト君が私の手に前足をのせて「大丈夫」と言ってくれているのでした。
翌日、事務所の先輩にこの話をしたら、「あ、ほんとに大丈夫よ。先生は、請けたくないお客さんのとき、閉じるとか言うのよ」と言って「私も離婚しようか迷っていたとき、ホクト君がそっと手をのせて慰めてくれたことがあるわ」と言いました。
慰める猫っているんですね。
(平野みわ)