#わんこ物語

赤鼻のコタロー

数年前、友だちの紹介で柴犬の赤ちゃんを安く譲ってもらいました。安いのにはわけがあって「血統書付きの柴犬が生んだ子どもなんですけどね、父犬が雑種です」とのこと。

うちに来て「滝川コタロー」という名前になったその子は、たしかに柴犬の姿をしているのですが、柴犬ではありえないほど人懐っこい性格で、のんびりしていて、言うことをよく聞きます。散歩で出会う人間も犬もみんなお友だち。つまり、コタローは警戒心ゼロという犬なんです。

で、散歩の途中、ある家の庭に犬が寝そべっているのを見つけて、大喜びで近づき、門の桟の間から鼻を突っ込んで挨拶しようとしました。ところがその犬は起き上がって、いきなりガブっとコタローの鼻に嚙みついたんです。キャイーンと鳴いたコタロー。見ると黒い鼻が赤くなっていました。帰って塗り薬を塗ってやりながら、悪いけど笑ってしまいました。赤鼻のトナカイじゃなくて、赤鼻のコタローじゃん、と。

(滝川)