#わんこ物語

特別なご招待

小林さんは「犬好き」というより、「犬から好かれる人」と言った方があたっていると思います。

地方の国立大学の研究員で、三十代独身、イケメンではないが健康的。

その小林さんが夕方アパートに帰ってくると、女性、といっても茶色のメス犬が待っていました。小林さんは過去にも見知らぬ犬に押しかけられた経験があるので「おまえ、お腹がすいてるのか」と言って、台所にあったものを食べさせました。

翌日も、そのメス犬は待っていました。

そうやって一か月くらいたった頃、メス犬が「ついてきて」というふうに小林さんを振り返っては誘うので、ついていくと、近くの空き地の草むらに案内されました。そして見ると、大きく茂った雑草の中に、五匹の子犬がいたのです。

小林さんは「そうか。おまえ子どもを育てていたのか。かわいいなー」と言いながら、涙ぐんでしまいました。メス犬のけなげさ、それにオレを信用して、こんな大切なものを見せてくれたんだと思うと、もう涙が止まらなくなってしまったのだそうです。こんな男ですから、そのうちきっと人間の女性にも好かれると思いますよ。

(KIMI)