民俗学者のD先生の家ではラブラドールレトリーバーの女の子アンズちゃんを飼っていて、朝の散歩はD先生の役目です。
アンズちゃんはうすい茶がかった白っぽい毛並みで、赤いリードをつけてカッコよく歩きます。
ある日、散歩から帰ってしばらくしたら、アンズちゃんがヨダレをだらだら流しはじめたそうです。
「あ、アンズが変よ」とお嬢さんが真っ先に気づき、「トイレに吐いてる!」と奥さんも騒ぎはじめました。
すぐ車に乗せてペット病院へ行くと「食中毒ですね。散歩の途中で毒キノコかなんか食べたんじゃないですか」と獣医さんに言われてしまいました。
二、三日で症状は良くなったものの、家族間でのD先生の信用はガタ落ちし、「散歩の途中でアンズが何をしてるかお父さんは見てないのね」などと非難され、とうとう〝拾い食い防止口輪〟というのを買わされました。
今は赤い口輪をはめたアンズちゃんとD先生が、「叱られました」という顔で散歩しています。笑えます。
(ご近所のさとう)