#わんこ物語

ハルの親孝行

子どものいない仲村さんの家では、ゴールデンレトリーバーのハルちゃん(本名ハルカ メス三歳)が子どもみたいな存在です。

仲村さん夫婦は、一緒にアウトドアを楽しむ仲の良い二人なのですが、ときどき派手な口ゲンカをはじめます。

「え?知らないって? 信じらんなーい。もともとあなたが言い出したことじゃん」
「オレが? 冗談じゃねえよ。言い出したのはお前だべ」

と、責任のなすり合いにはじまり、相手の性格をバトウしはじめた頃、部屋の隅にいたハルがゆっくり起き上がります。

「だいたいあなたはいつも……」と言いかける奥さんの口を大きな舌でペロペローッとなめる。それで奥さんのセリフは「あなたはいつも×▽☆ミק☆●~*」となるのだそうです。

で、ご主人が「そうじゃないだろッ。オレが言ったのは……」と言いかけると、ハルはご主人の方へ行って大きな舌で口をペロペロ―ッとなめる。そこでご主人のセリフも「オレが言ったのは×▽☆ミק☆●~」となるのだそうです。

これを二、三度くりかえしていると、どちらかがプッと吹きだす。それで笑ってケンカは終了です。

「人には言えないんですけどね。うちのケンカはいつも犬に仲裁されてるんですよ」なんて奥さんが言うのですが、ほんとはハルの自慢をしているのですよね。

(KIMI)