#わんこ物語

ハナちゃん事件①

D先生は大学の民俗学の教授です。

D先生が飼っているハナちゃんは黒いレトリーバーの母犬と、牧場で働いている父犬の間に生まれました。

「働いている」って?と、へんに思われたでしょう。

父犬は、牛が出産する時間を、「もうすぐ生まれるよ」と飼い主さんに知らせる、頭の良い犬だったのです。

だからハナちゃんも頭が良くて、D先生夫妻の子育てに参加して働きました。姉と弟の二人の子どもが小さいときは、泣けば行ってあやしてやり、ケガをすれば舐めてやり、思春期で落ち込めば、そっと励まし…と、乳母の役目を果たしたのです。

そんなハナちゃんが病気になり「すい臓炎です。二日間、絶食させてください」と獣医さんに言われました。ハナちゃんが食べられないのに、人間が食べるわけにはいきません。というわけで、一家四人は朝はコンビニのおにぎりを車の中で、夕方はファミレスで食べて、ハナちゃんの前では水しか飲まなかったのでした。

(KIMI)