小野さんという知り合いのおじいさんは、ずっと柴犬を飼いたかったのだそうです。でも値段が何十万円だから、とても飼えないと思っていたら、ある日、新聞に「柴犬あげます」というお知らせが載っていました。その子は二歳になる女の子でした。大喜びでもらってきて、名前も美桜とつけて、「ミーちゃん、ミーちゃん」と可愛がっています。
小野さんの家は国道のすぐそばにあります。ある日ミーちゃんが玄関から脱走して車がいっぱい走っている国道を渡っていったときは、「もうだめだ。車に轢かれるッ」と目をつぶったそうです。ところがミーちゃんは無事帰ってきて、それ以来、どんなに用心しても厳重なバリケードを破って 4 回も脱走しているのです。元の飼い主さんが手放した理由はこの〝脱走グセ〟だったのではないか、と小野さんと話しています。
(佐藤)