#わんこ物語

はずかしい思い出

お祖父さんの代から続く肉屋さん金岡商店は、まちの誰もが知っているお店です。

店主の金岡さんが小学生の頃、ペスという茶色のオス犬を飼っていたのですが、この犬がサービス精神のかたまりで、お客さんに声をかけられると、ちぎれるほど尻尾をふって愛嬌をふりまくので人気者になっていました。他人でそのくらいですから、飼い主の金岡さんには、とびつく、顔をなめる、追っかけまわす、という騒ぎになるのでした。

「今度の運動会で、よさこい踊りを踊るとき、ペスをつれてたら大変なことになるぞ」とお父さんから言われて、みんなハッとしたのでした。そうだ、ペスをどこかに閉じ込めておかなくては。

運動会の朝、金岡さんの一家は騒ぐペスをどうにか風呂場に閉じ込めて、ほっと安心して出てきたのでした。

ところが、よさこい踊りがはじまったとき、どこをどうやって抜け出したのか、ペスがかけつけてきたのです。「あっ、どうしよう」と金岡さんが思ったとき、ペスはもう金岡さんに飛びついて、踊りの調子に合わせてぴょんぴょん飛び跳ねるので、見物席は大笑い。

会場の注目と笑いを一身に集めて金岡さんのとってもはずかしい運動会は終了したのだそうです。

(KIMI)