“腰の曲がったおばあさんが、自分の腰にヒモを結び付けて茶色の中型犬と一緒に歩いているのに出会いました。リードではなく小包ヒモのようなヒモなんです。令和の時代ではめずらしい光景でした。
そのおばあさんが石垣に寄りかかって腰を伸ばしているとき、話しかけると、
「この犬は、普段は首輪もヒモもつけてねぇのよ」
という話でした。
なんでもおばあさんの田舎では、その犬は集落じゅうの人たちが知っていて、家々をまわってオヤツをもらっている、というのです。
「町には来たくねぇげんちょ、息子が家を建てて来い来い言うがら」しかたなく二、三日来ているのだとか。
いいなぁ。オヤツをもらいに田舎の道を歩く一匹の犬。名前を聞くと、コロだそうです。
よくいましたねー、昭和の時代にコロという名前の犬が……。
(KIMI)”