衝撃だった。そして私にとっては最大の朗報でもあった。朝一番で届いた九州の寅子さんからのメール。それには新聞に載った、本の広告の切り抜き写真が添えられていました。
『酒を主食とする人々』本日発売!!(本の雑誌社)文ちゃんの来世は決まり。この国に生まれ変わればいいのよ、の一行に「スグ買ウ、スグ読ム」と短い返事を打って、本屋へ駆け込み、三十分後には読み始めていました。
祖父・父から三代にわたって受け継いだ鉄の肝臓は、二十歳前からその力を発揮し、自他ともに認める大酒呑みとなっていた私は、三食酒だけあれば生きていけるなどと豪語していたのでした。それが何と! 酒を主食とする人々が実在していたとは。
エチオピアの南部、デラシア村。この村の老若男女はすべて、朝から晩までバルショータを四〜六リットル呑んでいます。自家製のドブロクを薄めたようなアルコール度四〜五%、裏山に生えるある種の葉(モロコシ、コーリャンに似たもの)をきざんで、一ヶ月ほど発酵させた団子状のものを煮た汁です。固形物といえば、その団子と豆類を少量かじるだけで、体調も良く日常を普通に送っている、と。
だが、だがしかし、話はここで止まってしまう。微醺を帯びた村人たちの日常が描かれていない。パーティーもお祭りもない。夜毎の酔漢どものケンカも出てこない。人々は無表情で静かに大量のバルショータを呑んでいるだけ。
いやだいやだ、こんな村。いくら酒好きでも息が詰まりそう。まして酷暑、貧困、非衛生、低文明の中で酒に溺れても、私は三日ともたないでしょう。行くもんか。・・でも三食酒付きじゃなくて、三食が酒そのものとなるとなぁ・・。