お寺の多くは山中にあり、山の名前を付けて「山号」と称します。比叡山延暦寺、成田山新勝寺などが有名ですが、「ことば遊び」として古典落語の『山号寺号』を今回はご紹介します。
若旦那と幇間の一八が街でばったり出会います。「浅草の観音様へ行く」と言う若旦那に、一八が「あゝ、金竜山浅草寺ですか」と言い、「〇〇山××寺という正しい呼び方がどこにでもあるんですよ」と知識をひけらかします。若旦那は「どこにでもあると言ったな。じゃあここにあるか。あったら金をやる」と、からかいます。
一八は「時計屋さん今何時」「あんまさん揉み療治」などと言って、若旦那を感心させ、一口ごとに五十銭もらいます。調子に乗った一八が「お巡りさん一大事」「お婆さん拭き掃除」「お医者さんイボ痔」などと言って、あっという間に五円になります。
すると若旦那が「俺も考えよう。あげたお金、出してごらん」「全部?」「そう、それをわが懐にしまう」「へえへえ」「それから、こう尻をはしょって、一目散随徳寺」と走り出す。一八「南無三、仕損じ」という落ちです。
友だちみんなで面白がってマネをします。
「肉屋さんソーセージ」「看護師さん赤十字」「クロワッサン、パリの味」と結構出てくる。
「おそば屋さん、玉子とじ」「お嬢さんモジモジ」「磐梯山、会津富士」と、どんどん続くのですが、仲間うちのダジャレの練習には「お父さん、いい感じ」ですね。