友だちに、村田君という男がいます。生まれついてのバクチ好きで、競馬、競輪、麻雀、花札まで、勝負事となると別人のようになります。
その村田君と二人きりで居酒屋で飲んだある晩、周りを見回し、小声で「金輪際、一生に一度しか使えないものだけど……、ジャンケンの必勝法を教えておくよ」と言うのです。何だそりゃ? と聞き耳を立てると、こうでした。
あるとき、どうしても三十万円作らなきゃなんねぇことになった。手をつくしたがあと十万円足りない。種銭を持って行きつけの麻雀屋へ顔を出す。いつものメンバーがたむろしていてすぐに卓を囲むことになった。が、その晩はツキがなく一人負けで、手持ちが一万円ほどになってしまった。
そこで村田君は「麻雀はやめッ。その代わり手っ取り早く、お金の取りっこしませんか」と誘った。勝っていたやつらは当然 OK。まず千円を卓に出し、四千円を四人で奪いあうことになった。
「最初はグー。ジャンケンポン?」
(つづく)