今ではカッコイイの一言ですませていますが、昔は「いいね。あの人はイキ(粋)だね」なんていう言葉をときどき聞いたものです。
「イキだね」という誉め言葉は、どういう人に使うのでしょうか。着るものも小綺麗であか抜けている。話もくどくなくて、わかりが良くて、気が利いている、決して出しゃばらずに分をわきまえて、言うこともすることもさっぱりしていて感じがいい……と、こういう人間がイキと言われたようなんです。
何年も前、いつもの仲間四、五人で競輪を楽しんだ帰り道、杉山さんの「軽く呑もうか」で、近くの小料理屋のノレンをくぐりました。
「あのレースで落車事故さえなければ」「この選手がもう一我慢こらえてくれたら」と、レバ・タラの愚痴が飛び交ういつもの反省会となりました。いい加減酔った頃合いをみて、「そろそろですね。割り勘でいきましょう」と杉山さんに小声で言うと「勘定?さっきトイレに行ったとき済ませておいたよ」と言うではありませんか。財布にゆとりのある経営者とはいえ、彼も今日は負け組だったはず。「ええっ?」と戸惑っていると、「競輪の帰りだぜ。オケラになってるやつもいるかもしれないよ。割り勘で恥かかせたらマズイじゃない」。なるほど、そのときわかりました。イキとは、こういう心遣い、人への思いやりなんだ、と。
お金、お金の今のご時世、さっぱりとした金の使い方、金の手放れの良さも、「イキ」の大切な条件になっているのかもしれませんね。